2026年度税制改正大綱を読んだ所感

資金・税金・運用全般
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こんにちは。ikio(@ikio04731250)です。

先日、2025年12/19(金)に来年度の税制改革大綱が発表されましたね。
内容も「178万円の壁」「資産形成支援」「事業承継の延長」など、いかにも「追い風」に見える派手な言葉が並んでいます。
ただ、個人的にはむしろ“何もしてはいけない年”だと感じました。

人によって受け取り方がそれぞれ違うと思いますが、一つ言えることは「税制は、投資判断を後押ししてくれるものではない」ということです。
むしろ、判断軸がズレている投資家を静かにふるいにかけると感じました。

今回は、大綱を読んで感じたことをまとめたいと思います。

個人所得税

基礎控除・給与所得控除の引き上げ、いわゆる「年収の壁」の見直しは、一見すると家族を巻き込んだ不動産投資にとってプラスに見えます。

しかし、あくまで所得税の上限が上がっただけにすぎません。
家族に給与を支払う場合は、社会保険料も考慮しないと意味がありません。これは今回、特に変更されていない点です。
つまり、結果的に手元に残るお金が減る可能性があるということです。

また、今回のように社会の声が大きくなると、制度変更は都度起こり得ます。将来また変わる可能性が高いわけです。
控除額を理由に名義や所得配分を動かす行為は、短絡的な行為ではないでしょうか。

この改正を見て確認すべきなのは、「制度が変わっても家族全体の税務設計は損をしないか」という一点に尽きるかなと思います。
短期的な控除増を理由に設計を変えるほど、不動産はじめ全ての事業は甘くないと感じます。

一方、多くの一般的なサラリーマン層は基礎控除が上がることで一定の恩恵があると思います。

資産形成・金融取引

■暗号資産の申告分離課税検討、NISAの拡充、超富裕層への課税強化
金融資産について言及されていますが、ここから政府が推奨したい投資の方向性が伺えます。

それは「シンプルで、長期目線で、説明しやすい資産」
「管理しやすいか」という視点で制度が作られている、ということですから、要は税金を取りやすい投資の推奨です。

現時点の大綱の方向性を見る限り、不動産は優先的な推奨対象とは言えないように感じます。
評価は相対的なものになりますし、流動性も低い、また様々なスキームが生まれやすく、制度設計が複雑になりがちです。
そのため、まずは税金を取りやすいところから手を付けた印象ですね。

また、超富裕層に対して課税強化とありますが、今後は不動産を含めた総資産に拡大される可能性は非常に高いです。
特に都心では資産性重視の投資が多いですが、これの課税強化が強まれば、結局はCF重視の投資が有利になる時代もありえると思います。

いずれにしても、金融資産・不動産・資産性・CF、どれにも偏り過ぎず、分散させていくことが大事ではないでしょうか。

企業支援税制

■特定生産性向上設備等投資促進税制の創設
即時償却など強力な節税効果がある制度で魅力的に見えますが、注意点もあるように思います。

・機械装置(1台 160万円以上)
・工具・器具備品(1台 120万円以上など)
・建物(1棟 1,000万円以上)
・建物附属設備・構築物(1つ 120万円以上など)
・ソフトウェア(1つ 70万円以上)

など、対象資産がリフォームと相性が良さそうではありますが、国からの認定が必要ではありますので、簡単に受けられるものではないのだろうなと感じました。

不動産投資としては、「使えるかどうか」より「使わなくても成り立つか」を確認すべき制度だと感じました。

■中小企業者等の少額減価償却資産の特例
損金算入できる基準額が、「30万円未満」から「40万円未満」に引き上げ。要件を満たしている場合は、節税効果が高くなるのでこれはプラスだと思います。

■事業用資産の買換え特例
適用期限が延長される一方で、適用要件の厳格化(対象資産の絞り込み)が行われます。
都市部では影響が大きいですが、郊外地区ではあまり影響はないと考えています。

相続・事業承継

住宅ローンの控除期間延長が目立ちますが、リフォームの要件も変更されており、不動産投資としても結構大事なポイントです。

■相続
いわゆるタワマン節税を潰すような内容です。
これは都心部での話なので地方郊外では特に気にする必要はないかなと思います。

■住宅リフォームに関する減税措置
・固定資産税の減額措置
こちらは床面積の上限・下限ともに引き下げられますので、今までギリギリ上限いっぱいだった一棟物に影響があります。要注意ポイントです。

■土地等の譲渡所得に関する特例
単価が上がる一方、対象事業者が絞られる可能性があります。
地場の建築屋では開発が難しくなり、大手ディベロッパーに相手にされない土地は死蔵になる可能性があります。
不動産投資としては出口が狭くなりますので、ポートフォリオの見直しも必要になるかもしれません。

その他

■青色申告特別控除
紙で申告を行う場合の「55万円控除」は廃止され、デジタル化への移行を強く促す内容です。
方向性を踏まえると青色申告特別控除の電子化優遇が継続・拡大される可能性がありますので、プラスの内容だと思います。

■消費税・インボイス制度
小規模事業者の税負担急増を防ぐための「3割特例の創設」など支援策が講じられるとの内容ですが、個人的にはそもそもインボイス制度が負担そのものに思います。

まとめ

今回の税制大綱を通して感じるのは、国は何かを大きく優遇しようとしているわけでもなく、締め付けようとしているわけでもない、ということです。

今回のような税制改正は毎年のようにあります。
なので、制度に合わせて「損か得か」で計画するよりも、制度に振り回されない環境つくりが大事かなと感じました。
少なくともikioは、税制が変わっても慌てなくていい投資だけを続けたいと思っています。

今回は以上です。

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