「貯蓄2,059万円」の裏側にある空き家問題。統計から不動産市場を考える

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こんにちは。ikio(@ikio04731250)です。

投資をしていると、日本の統計を見る機会が増えます。
金融資産のデータとしては、野村総合研究所(NRI)の「富裕層ピラミッド」が有名ですが、不動産や負債まで含めたデータは意外と目にする機会がありません。

では、不動産まで含めると資産状況はどう見えるのか。過去にそんな視点から記事を書いたことがあります。
富裕層ピラミッドに想う。

不動産投資家としては、このあたりのポジショニングよりも、「いかに投資につなげられるか」が大事ですよね。
そこで今回は、2025年の総務省「家計調査 貯蓄・負債編」(※)をもとに、兵庫県で不動産投資を行うプレイヤーの視点から今後の市場について考えてみたいと思います。

※出典:2025年 貯蓄・純貯蓄現在高五分位階級別,世帯主の年齢階級別(e-stat)

貯蓄2,059万円という数字から見えるもの




2025年の二人以上世帯における平均貯蓄現在高は2,059万円、負債は675万円となっています。
しかし、貯蓄現在高を5つの階級(※1)に分けて見ると、最も少ない「第1階級」は102万円、最も多い「第5階級」は6,113万円と、かなり大きな開きがありますね。

さらに「純貯蓄現在高(貯蓄 − 負債)(※2)」で見ると、その差はより顕著です。
第1階級は貯蓄748万円に対して負債が2,683万円(大幅な負債超過)であるのに対し、第5階級は貯蓄5,988万円に対して負債はわずか119万円となっています。

ひと口に「平均世帯」と言っても、実態は二極化していることが読み取れます。
不動産投資家として気になるのは、この資産格差が住宅市場や賃貸ニーズにどう表れてくるのか、という点です。

※1 この資料では純貯蓄現在高の多い順に世帯を5グループに分けています。「第1階級=貯蓄100万円未満」といった固定区分ではないため、各階級の負債額にはバラつきが見られます。
住宅ローンを大きく抱えている働き盛り世代が第1階級(負債超過)に含まれるなど、実態としての資産二極化がよく表れています。



※2 ややこしいですが、「貯蓄現在高」と「純貯蓄現在高」は別項目です。詳細はリンク先の資料を参照してください。

兵庫県では「持ち家」が大きなポイントになる

今回の全国データでは、二人以上世帯の持ち家率は87.0%。
貯蓄が多い世帯ほど持ち家率も高く、第5階級では92.9%に達しています。

これは兵庫県の不動産市場を考えるうえでも、非常に重要な視点ではないでしょうか。
兵庫県は、神戸・阪神間のような都市部だけでなく、播磨、但馬、丹波、淡路など、エリアによって住宅市場の性格が大きく異なります。

都市部では「駅近」や「生活利便性」が重視される一方、郊外・地方エリアでは「土地・建物の広さ」「駐車場」「実家との距離」などが優先されやすく、持ち家志向も根強く存在します。

つまり、「兵庫県全体の平均値」だけで判断するのではなく、エリアごとの家計状況や住宅事情まで踏み込んで捉える必要があるということですね。

高齢世帯の資産をどう見るか



もう一つ、この統計で注目すべきは「世帯主の年齢」です。
貯蓄現在高の第1階級における世帯主平均年齢は55.4歳ですが、第5階級では65.9歳となっています。

資産を多く保有する世帯ほど年齢層が高いという実態があり、今後この「高齢世帯が保有する資産の行方」は、不動産投資において無視できないテーマになります。

特に地方では、親世代が所有する戸建て住宅を子世代が引き継がないケースが増加しています。
その結果、大量の相続・売却・空き家が発生しているというのは、ニュースにも取り上げられ、今後の大きな社会問題となっています。

投資家にとっては、ここに「仕入れのチャンス」が生まれる可能性があります。この点については以前も記事で触れました。
「地方消滅」と言われる時代、空き家はチャンスになる

ただし、相続物件なら何でも買えばいいわけではありません。
人口減少が進む地域では、どれだけ安く取得できても、入居ニーズがなければ単なる不良資産になってしまうからです。


世代交代のタイミングでは、「安く買えるか」以上に「その地域に今後も住みたい人がいるか」を見極める目線が求められる、ということですね。

金融資産が多い世帯から考えること



もう一つ興味深いのが、「有価証券」の保有額です。

第1階級の保有額が7万円にとどまるのに対し、第5階級では1,651万円に上ります。
内訳を見ても、株式は2万円から848万円、投資信託は5万円から626万円へと大きく伸びています。

資産を持つ世帯ほど、預貯金にとどまらず、株式や投資信託などのリスキーアセットへ積極的に資金を配分していることがわかります。




合わせて負債も確認してみましょう。
「住宅・土地のための負債」は、第1階級が630万円、第5階級が502万円(全体平均620万円)です。

これらは自用住宅ローンと見られますが、世帯主年齢と合わせて考えると、比較的高齢な第5階級であっても「実物資産(不動産)」と「金融資産」を組み合わせたポートフォリオを形成している様子が見えてきます。

こうした資産構成を見ると、相続対策として不動産を活用する世帯が存在することとも整合的ですが、今回の統計だけではその実態までは確認できません。

兵庫県で不動産投資するなら

今回の統計から金融資産の他に「持ち家」が資産の中心にあるが、子世代が引き継がな(住まな)ければ、空き家として仕入れ機会が生まれる、ということが読み取れます。

もちろん全国の統計なので、兵庫県の答えではありません。
だからこそ、自分の目で実際に見ることが大切です。

ここからは統計の事実ではなく、プレイヤーとしての仮説です。
実際の市場を見ていて強く感じるのが、「持ち家の多さ」と「次世代の住宅需要」のズレです。


■神戸・阪神間
持ち家率が高くても賃貸需要が存在する地域です。
ただし、人気があり比例して価格も高い。個人宅よりも、一棟など資産性のある共同住宅を狙うのが無難。

■播磨
工場地帯であり、人口も阪神間に次いで多い地域です。
その割に阪神間に比べて土地はリーズナブル。ファミリー需要が強く、戸建がとても多いです。

統計に照らし合わせると、播磨が投資対象になるとは判断できません。
しかし、実際に物件を見ているとikioはこのエリアに市場の歪みを感じますので、よく狙っています。

戸建なら土地30~40坪、建物80~100㎡の住みやすい物件が、相続案件として阪神間より安めに出ることがあります。
ただし、調整区域やハザードマップ内エリアも多いので、よく調査する必要があります。


■但馬・丹波
土地が広く、戸建が多い地域です。
ただ、人口減少と空き家問題が顕著に表れており、取得価格は低いですが、需要はかなり地域をリサーチしないと難しいです。

参考記事はこちら
観光地の投資は甘くない?出石町で利回りを試算してみた

■淡路
神戸・阪神間に近く、移住やセカンドハウスなどの需要が高いです。
また、近年は観光地として再開発が進んでおり、島の北側は土地価格が高騰しています。また民泊もかなりの数が増えました。今から参入は遅いかも?

兵庫県は新幹線や空港など、比較的インフラが整っているので、同じ地方投資として見ても、他県と比較すると新規参入しやすいのではないでしょうか?

より具体的な考察や投資戦略については、今後も都度記事にしていきたいと思います。

まとめ

今回の家計調査からikioがお伝えしたかったのは、単に「日本人は平均2,000万円以上の貯蓄がある」ということではありません。

・資産を持つ世帯が、どこに住み、どのような住宅を所有しているのか
・将来、その住宅をどう処分・継承しようとしているのか
・引き継ぐ側の世代に、その住宅の需要が本当にあるのか


ここまで掘り下げて考えて初めて、家計統計の数値が不動産投資とつながってきます。

不動産投資では表面的な「利回り」や「価格の安さ」に目が奪われがちですが、最終的に物件を買ったり、家賃を払って住むのは「人」です。

ターゲットとなる人々がどれほどの資産やローンを抱え、どの年代に集中しているのか。そして、その資産が次の世代へどう流れていくのか。

2025年の家計調査は、そうした根本的な構造を再確認する良いきっかけになりました。
地方での不動産投資において、こうしたマクロ視点とミクロな地域需要を掛け合わせる姿勢は、今後ますます重要になっていくと考えられます。

今回は以上です。