築古戸建の私道・水道管トラブル!通行掘削承諾と出口戦略

物件選び・内見ポイント
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こんにちは。ikio(@ikio04731250)です。

地方の不動産投資では、都市部以上に「土地そのものの条件」が収益性を左右します。

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とりあえず、土地値で仕入れられれば問題ないんじゃない?

いいえ。そんな単純ではありません。

価格が安い土地を見つけても、接道条件に問題があったり、上下水道などの引き込みに他人の土地を通る必要があったりすると、建築・賃貸・売却の各段階で思わぬ障害が生じてしまいます。

そこで重要になるのが、通行掘削承諾書です。

・他人が所有する土地を通行
・地中に埋設された水道管・下水道管・ガス管などの工事のための掘削


これらについて、土地所有者などから正しく承諾を得たことを示す書面です。

特に古い街並みのあるエリアでは、敷地までの通路が私道であったり、前面道路から敷地までの距離が長かったり、給排水管が隣地を経由していたりするケースが珍しくありません。

こうした物件を検討する際、通行掘削承諾書は単なる付属書類ではなく、将来の利用可能性と資産流動性を判断するための重要な資料となり得ます。

投資価値を左右する3つのポイント

まずは、簡単に通行掘削承諾書の解説とポイントをまとめます。

①通行の安定性
まず確認すべきなのは、対象不動産から公道まで、継続的に通行できる権利が確保されているかという点です。
特に古い戸建てなどでは、道路が個人所有、共有、あるいは複数の所有者に分かれていることがあります。

現状では問題なく通行できていても、所有者が変わったり近隣住民との関係が悪化したりした場合、トラブルに発展する可能性があるわけです。


②掘削・インフラ整備の自由度
次に重要なのが、上下水道・ガス管などの新設、修繕、交換に必要な掘削が認められているかです。
例えば、給水管が老朽化しており私道を掘削して交換する必要があるにもかかわらず、承諾が得られなければ、工事の遅延や追加費用が発生する可能性があります。

また、建て替え時には既存配管の更新や、新たな設備の引き込みが必要になることもあります。


③売却時の流動性
通行・掘削に関する権利が不明確な物件は、買主がリスクを慎重に評価するため、価格交渉で不利になる可能性があります。
金融機関の融資審査に影響することもあり、結果として売却期間が長引く原因にもなりかねません。


承諾書が整備され、接道やインフラの利用条件が明確な物件は、買主にもリスクを説明しやすくなります。
ただし、承諾書があるだけで建築可能性や融資が保証されるわけではないので、過信は禁物です。

地方不動産で特に注意すべきリスク


※AI生成イメージ

地方物件では都市部と比較して土地価格が低い分、予期せぬ費用が投資収益を大きく圧迫する場合があります。気を付けるべきポイントをまとめました。

■承諾者の数と権利関係
私道が複数人の共有である場合、必要な承諾を誰から取得すべきかを確認する必要があります。
共有者の一部が遠方に居住していたり、相続登記が未了だったりすると、承諾取得にかなりの時間がかかることもあります。

権利関係が複雑な物件を内見したものの、リスクを考えて購入を見送ったことがあります。そのときの判断はこちらです。
▶【内見】戸建 13軒目


■承諾の範囲と継続性
「売主だけが利用できる内容」なのか、「買主や将来の所有者にも効力が及ぶ内容」なのかを確認します。
売買や相続などで所有者が変わった場合の取り扱いが不明確だと、出口戦略に支障を来す可能性があります。


■承諾料や工事費の不確実性
所有者から承諾料を求められたり、工事のたびに協議が必要になったりする場合もあります。
物件の取得費だけでなく、将来の維持管理費やインフラ更新費まで見込んで収支を計算することが大切です。


ikioの体験談
過去にあったケースとして、前面道路を分譲業者が100%所有しているにもかかわらず会社が解散してしまい、承諾取得の相手方や手続きが不明確になっていた事例がありました。

この時は、再建築(水道引き込みの可能性)を考え、市の建築課に相談したところ「形だけでも承諾書を提出してもらえれば引き込みのための掘削はOK(※1)」とのことでした。
実際に、2023年4月の民法改正(第213条の2 ※2)により、私道所有者の承諾なしでもインフラ設備の設置権・使用権が法的に認められるようになってきてはいます。

権利関係の問題を調査したうえで、それでも運用で利回り20%超え(5年で回収)できる見込みがありましたので、購入に至りました。

※1 当該案件での相談の結果であって自治体によって判断は変わるかと思います。実務上のトラブル回避のため提出を求められました。
※2 ライフライン設備の設置・使用に関する規定で再建築の可否を保証するものではありません(通行に関しては別の立て付けがある)。また、他の土地に設備を設置しなければライフラインの供給を受けられない、事前通知が必要、償金や費用負担が生じうる、などの要件はあります。

投資判断への落とし込み

投資家として重要なのは、承諾書の有無を単独で評価するのではなく、取得価格・追加費用・保有中の収益・売却価格を一体で判断することです。
通行掘削承諾書がないからといって、必ずしも通行や掘削が一切できないとは限らないからですね。

反対に、承諾書が未取得であっても、既存の権利関係を確認でき、取得費用や工期を見積もれるのであれば、価格交渉によって絶好の投資機会になる場合もあると考える方が合理的です。

具体的に、購入前に行う確認リストとしては次の7項目が挙げられます。

①公図・登記事項証明書で私道の所有者と共有持分を確認
②建築基準法上の道路種別と接道条件を自治体に確認
③通行・車両通行・掘削の各承諾範囲を確認
④給排水・ガス管の位置、所有者、老朽化状況を調べる
⑤修繕・更新工事と道路復旧に関する費用負担を確認
⑥承諾の承継条件と将来の売却への影響を確認
⑦承諾未取得の場合の取得可能性・費用・工期を見積もる

基本的には仲介業者の方で調べていると思いますが、①~④は自分でも調べられますし、⑤⑦はある程度経験を積めば感覚ができてきます。
⑥は個別性が強いので、こればかりは売主から聞き出せる範囲で検討するしかありません。

民法改正によって設備設置権などのルールも整備されていますが、個別の工事が当然に自由にできるという意味ではありません。
権利関係が複雑な物件では、弁護士や土地家屋調査士などの専門家に相談した方が良いです。

まとめ

不動産投資における通行掘削承諾書は、単なる事務書類ではありません。
通行の安定性、インフラの更新可能性、将来の売却のしやすさに関わる重要な判断材料です。

・購入前に確認する ➔ 誰が何を承諾しているのか、権利関係を正確に把握する。
・収支に反映する ➔ 承諾料、工事費、工期、将来の更新費用をシミュレーションに織り込む。
・出口から逆算する ➔ 次の買主にも安心して説明できる権利関係を確保する。

価格が安い物件ほど、「その価格がどんなリスクや課題を反映しているのか」を見極める姿勢が長期的な投資成果につながります。

他にも再建築不可なども記事にしていますので、良ければ読んでみてください。
▶再建築不可物件は儲かるのか?判断基準とメリット・リスク


本当に避けるべきなのは「承諾書がない物件」ではなく、「権利上の問題と解決コスト(リスク)が分からないまま購入すること」です。
今回の記事で、物件選定の一助になれば良いなと思います。

今回は以上です。