こんにちは。ikio(@ikio04731250)です。
2026年5月、MUFJ信託銀行から興味深いレポートが出ていました。
▶30年ぶりの金利上昇が示唆するキャップレートの局面変化
※引用:三菱UFJ信託銀行
要点をまとめると、
・日本の長期金利は30年ぶりの高水準
・市場は政策金利1.5%より高い「2%台」も意識している
・J-REIT市場はすでにキャップレート上昇を織り込み始めている
と、指摘しています。
つまり、「不動産価格が下がるリスクを市場は先に見始めている」と翻訳できます。
「金利が上がると不動産価格は下がる」ここまでは既出のよくある結論。
しかし、レポートを読むと、本当に重要なのは金利ではなく「家賃を伸ばせるかどうか」と読み取れます。
地方投資家目線で見ると、これからは家賃を伸ばせる物件を探す時代になると感じました。
地方投資家にとって一番重要な部分
レポート内の式は、
不動産価値維持に必要なCF増加率=キャップレート上昇幅 ÷ 現在のキャップレート
続く例として、利回り4%物件でキャップレートが4%→5%になると、家賃収入を25%増やさないと物件価格を維持できないと説明しています。
これは地方不動産にはかなり重い話です。
■地方RC・アパート投資家への影響
例えば、人口減少市町村・郊外・築古・空室率が高い地域などでは、家賃を上げるどころかマイナスにしないようにするのが限界です。
そのため、金利上昇に伴いキャップレートが上昇すれば、評価額の下落が起きやすくなります。
今まで市場価格に引っ張られて高値がついていた築古収益物件が売れなくなる可能性がある、ということですね。
■強いエリア
一方で、家賃上昇で吸収できる(可能性がある)エリアもあります。
・政令指定都市中心部
・半導体工場周辺
・データセンター関連地域
・インバウンドが強い観光地
・人口流入エリア
例えば、半導体関連投資などで注目されていて、伸びるであろう地域など。
これがMUFJのいう「キャッシュフロー成長力が価値を左右する」ということです。
銀行融資の観点
不動産価格が下落すると銀行は、LTV・DSCR・担保余力を再評価します。
レポートには直接書いていませんが、金利上昇が続くなら金融機関はまずこちらを見るでしょう。
結果的に今後起こり得ることは・・。
2021年~2024年にフルローン・オーバーローンを引けてたのが、2026年以降では「自己資金要求増加」「追加担保の要求」「借換条件の悪化」という流れです。
実際に地方銀行や信金は、担保評価よりも返済実績を重視する傾向があります。
ただし借換時や追加融資時には評価額が影響するため、キャップレート上昇による価格下落は無視できません。
このレポートの本当の怖さは、物件価格下落そのものではなく、金融機関の融資姿勢が変わる可能性ですね。
今年打診した際には、まだ担保評価や融資姿勢が急激に厳しくなった印象はありませんでした。
ただし金利条件は以前より上昇しているし、どんどん利上げもされています。今後の政策金利次第ではより変化していく可能性がありますね。
地方投資家が今やるべきこと
なお、「25%増やす」はかなり極端な例で、都心部など限定的なものだと思います。
地方ではキャップレートがそこまで一気に上がりませんので、現実的に上げられる家賃レンジは、5~15%程度でしょうか。
レポートの25%は理論上の警鐘と理解した方がよいと考えられます。
| 現在利回り(キャップレート) | 1%上昇後 | 価値維持に必要なCF増加率 |
| 4% | 5% | 25.0% |
| 7% | 8% | 14.3% |
| 10% | 11% | 10.0% |
| 12% | 13% | 8.3% |
| 15% | 16% | 6.6% |
| 20% | 21% | 5% |
利回り4%の都心物件では家賃を25%上げないと価値を維持できませんが、利回り10%の地方物件なら必要な家賃上昇率は10%程度です。
高利回り物件は金利上昇局面でも価格下落耐性が相対的に高いことが分かります(※)。
※もっとも、そもそも賃貸需要や流動性に課題を抱えているケースも多いため、単純に高利回りだから安全というわけではありません。
とはいえ、起こり得ることに何らかの対策を考えておいて損はありません。
今すぐできることを順に検討していきます。
■売却前提の物件を洗い出す
「いつか高く売る」が前提の物件は要注意。
今後は、利回りよりも賃料成長の方が重要になると思います。
■家賃を上げられる余地を確認
確認ポイントとしては4つ。
①周辺募集賃料
②更新料
③駐車場収入
④共益費
レポートの理論では、価値を守る武器は家賃収入上昇ですから。
■借入金利感応度を試算
例えば、借入残高が1億円なら、金利が1%上昇すると年間利息は約100万円増えます。
単純にNOIが小さい物件は想像以上に苦しくなります。
■キャップレート上昇を織り込んだ出口価格を計算
| 現在 | 上昇時 | |
| NOI | 500万円 | 500万円 |
| キャップレート | 5% | 6% |
| 物件価格 | 1億円 | 約8,300万円 |
| 差額 | - | ▲約17% |
物件規模が大きくなればなるほど影響は大きくなります。
もっとも、キャップレート上昇は売り手には逆風ですが、買い手には追い風でもあります。
これまで高値で手が出なかった物件が適正価格に近づけば、現金比率の高い投資家や融資余力のある投資家にはチャンスになる可能性があります。
ikioは、今後しばらくは「家賃を上げられるか」をより重視して物件を見るつもりです。
特に人口減少エリアの築古物件は、利回りが高くても出口価格が厳しくなる可能性があります。
一方で、戸建のような小規模案件はキャップレートの影響が比較的小さいため、今後もチャンスはあると考えています。
金利上昇局面では、規模拡大よりもキャッシュフローの安定性を優先したいところです。
まとめ
地方不動産投資家目線では、このレポートは金利上昇で不動産市場全体が崩れるという話ではなく、賃料を伸ばせる物件と伸ばせない物件の二極化が始まるという内容と読み解けます。
2020~2024年は「金利低下が資産価値を押し上げた時代」でしたが、MUFJはその局面が終わりつつあると見ています。
これからは、
・人口動態
・雇用増加
・賃料上昇余地
・物件競争力
がこれまで以上に重要になります。
地方投資家ほど、表面利回りより5年後に家賃を上げられるかを重視して物件を評価する局面に入ったと読めます。
一方で、キャップレート上昇は買い手にとってはチャンスでもあります。
今後は、単なる高利回り物件を探す時代から、家賃を伸ばせる物件を探す時代になる。
MUFJレポートは、その転換点を示しているように感じました。
とはいえ、ikioのエリアでは更新料文化はなく、基本的に入退去時にしか家賃上昇でき(言え)ません。
また、物価に対してまだ賃金上昇は限定的です。住にお金を掛ける余裕は今の世の中にはまだないのでは・・とも思います。
今回は以上です。
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