意外と捨ててるお金の話

資金・税金・運用全般
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こんにちは。ikio(@ikio04731250)です。

不動産の運用って難しい。
修繕計画や業者選定などの日々の業務の他にも、運用次第でキャッシュフローに年間数十万円差が付く場合もあります。
その差を生む大きな要因が税金です。

物件選びや融資に比べると、税金は地味で後回しになりがちですが、よくよく見返してみると本来払わなくてよい税金を余計に払っているケースが非常に多い。

理由はシンプルです。
・なんとなくやっている
・調べても難解でよく分からない

この2つが失敗の典型ではないでしょうか。

本記事では、年間10〜50万円の「捨てていたお金」を取りこぼさないポイントをまとめています。

①減価償却を使い切れていない

不動産投資の節税で最も威力があるのが減価償却費です。
しかし実務で最も多いミスは、これを「正しく使いきれていない」こと。

特に法定耐用年数の勘違いがその原因になります。

・築30年の木造アパートを購入した
この場合、法定耐用年数は22年をとっくに過ぎています。
本来なら中古建物は残存耐用年数の簡便法(法定耐用年数×0.2)※1により、耐用年数を短縮して計算できます。
(木造住宅22年×0.2=4.4 →小数点以下切り捨てで4年となる)

※1 中古資産の耐用年数 =(法定耐用年数 − 経過年数)で計算できない場合、簡便法を使える

耐用年数が短い=1年あたりの償却費が大きいので、節税効果が高くなるわけですね。
にもかかわらず、自分で計算する際に「なんとなく法定耐用年数を使ってしまう」と、これだけで毎年数十万円の損になってしまいます。

ついでに記載しますが、物件価格の内訳に注意です。減価償却できるのは建物価格のみで、土地は償却できません。
ですので、古家あり土地として売りに出されていたとしても、建物が使えそうなら、売買契約書に建物部分を追記してもらう交渉も大事です※2。

※2 割合は固定資産税評価額からの算出がベター


・構造を勘違いしてしまう
アパートや戸建は木造が多いですが、中には鉄骨造やRCもあったりします。戸建の軽鉄骨は厚み3mm以下が多いので、築20年で耐用年数を過ぎます※3。
この場合、償却期間はわずか3年で、大きく償却費が計上できるわけです。
にもかかわらず、木造や4mm厚の重鉄骨と勘違いしてしまい、正しく計算できていないこともあります。

※3 軽鉄骨=19年。重鉄骨=34年。出典:国税庁主な減価償却資産の耐用年数表)外部サイトに飛びます

②青色申告のメリットを活かしきれていない

開業届と青色申告承認申請書を提出すれば、青色申告特別控除(最大65万円)を使えます。
これは節税効果が非常に大きい制度ですが、活用しきれていない人が多いのではないでしょうか。

・65万円控除の条件を満たしていない
条件は以下の通り。
「複式簿記で帳簿をつける」
「貸借対照表を作る」
「期限内に申告する」
「事業的規模であること」
「e-Taxを利用する(e-Tax不使用でも55万円控除可能)

これらをクリアすれば、所得から65万円を控除できます。
なお、事業的規模でない場合でも青色申告は可能です。

簿記や会計の知識が薄くとも、今時の会計ソフトは優秀なので、ある程度サポートしてくれます。
難しいのが事業的規模で、目安として「5棟10室」。ただし、あくまで目安なので、実態で判断されます。


・家族への“専従者給与”を使っていない
家族が管理作業や記帳を手伝っているのに、給与計上していない人も多いですが、これも立派な経費になります。

税金の世界では「実際に働いているか」が重要で、家族への報酬は合法的に経費化できます。
特に副業会社員の投資家にとって大きな武器になります。

③経費化できる費用を入れ忘れる

法人ではOKですが、個人事業では認められない経費も確かにあります。
しかし、それでも想像以上に経費として認められる範囲が広いです。

例えば・・
・交通費(物件見学・管理会社訪問など)
・書籍代・セミナー代
・携帯代の一部
・管理費・修繕費の一部
・火災保険料
・管理会社への更新料・広告料
・設備の軽微な修理費
・返済利子
などです。

経費が漏れると、本来減らせるはずの税金を余計に払っていることになります。

特に「軽微な修繕費」は見落としがちです。
10万円未満の修繕費は、ほとんどがその年の経費にできますが、これを資本的支出(資産)として処理すると、償却期間が伸びてしまい、節税効果は大きく目減りします。

こちらの記事も参考にしてください。
修繕費?資本的支出?税務調査で“やられない”ための判断ポイント

④返済金利を経費化できていない

先述の「経費の入れ忘れに」出てきた話を少し深掘りします。

不動産のローン返済は、「元本」と「金利」に分かれます。
ここで重要なのは、経費にできるのは金利のみ。ということで、元本は経費にできません。
ここまでは知っている人が多いです。
しかし実務で多いのは、金利の経費化を正確にできていないケース。

・複数物件の返済を一つにまとめている
・固定金利&変動金利の混在で計算ミス
・年間返済予定表を使っていない

特に近年は金利の上昇もあり、銀行金利も上昇傾向です。
返済金利は金額が大きいため、漏れると痛手になるので要注意です。

⑤売却時の譲渡税を誤解している

売却時の税金は非常に強烈です。
・所有期間5年以下 → 税率約39%(短期譲渡税)
・所有期間5年超 → 税率約20%(長期譲渡税)
と、税率が倍近く変わってきます!
この5年という期間は取得日・譲渡日の翌年1月1日基準」になります。
なので、12/31までに取得した場合は、「翌年の1月1日から5年を経過」となりますので、注意が必要です。
たった数ヶ月の売却タイミングのズレで100万円単位の損が出ることもあるわけです。

にもかかわらず、「売却のときに考えればいい」と後回しにする人が多い印象です。
本来は、購入時点に検討すべきで、少なくとも、
・いつ売ると長期譲渡になるか
・償却の残りはどうなるか
・売却益と税金のバランス


ここまで設計しておくべきです。

⑥ふるさと納税の限度額を過小評価

意外と多いのが、ふるさと納税の限度額を低く見積もってしまうこと。

限度額は「給与所得」+「不動産所得」で決まります。
しかし多くの人は、給与だけで限度額を計算してしまう・・。そうすると、実際よりも限度額が低く表示され、本来もらえる返礼品を取り逃すことになります。
なお、築古ファイターは不動産所得がマイナスの場合も多いかと思います不動産所得が赤字でも、給与所得と通算されるため、結果として住民税や限度額が上下します。

ふるさと納税は「ほぼ無条件で得する制度」なので、ここで損するのは本当にもったいない。

まとめ

不動産は、買ってからの運用こそが勝負です。

特に税金は、毎年のキャッシュフローを大きく左右するため、「物件選び」と同じくらい重要ではないでしょうか?

税金を理解することは、ただの節税ではありません。むしろキャッシュフローを積極的に改善する攻めの運用です。
「まだよく分からない」という人ほど、今回の6つのポイントをまず1つだけでも実践してみてください。

今回まとめた内容をもとに振り返ってみると、年間10〜50万円レベルの「捨てていたお金」を回収できる・・かもしれません。
専門用語の解説や節税テクニックは控えめにしていますので、節税への入口として、各要素を調べる「きっかけ」としてもらえたらと思います。

今回は以上です。

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